未払い残業代、請求できるケースと金額の目安

残業代の計算ツールを作るとき、労働基準法まわりを読み込みました。その中で「これ、知らないまま泣き寝入りしてる人多いんじゃないか」と思ったのが、未払い残業代の話です。ロジックを組むために調べた内容を整理してみます。なお、自分の残業が違法かどうかの判断と転職も含めた選択肢については、「残業が多すぎるなら知っておくべきこと」の記事でまとめています。

目次

残業代が未払いになるパターン

まず多いのが「みなし残業(固定残業代)」の誤解です。月30時間分の固定残業代が給与に含まれていても、30時間を超えた分は追加で支払われなければなりません。ここを「固定だから何時間働いても同じ」と勘違いしている会社は少なくないです。

次に「管理監督者だから残業代なし」というケース。法律上の管理監督者は、経営に関する重要な決定権を持ち、出退勤の自由がある人に限られます。「課長」「店長」という肩書きだけで残業代ゼロにしている場合、実態と合っていなければ違法の可能性があります。

あとは、タイムカードを打刻させてから残業させる、いわゆる「サービス残業」。これは言うまでもなくアウトですが、暗黙の了解でやっている職場はまだまだあるようです。

請求できる金額の目安

残業代の計算は、基本的に「1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間」で出ます。割増率は通常の時間外で25%以上、深夜(22時〜5時)はさらに25%上乗せ、休日労働は35%以上です。

加えて、月60時間を超える時間外労働は50%以上の割増率が適用されます(中小企業にも2023年4月から適用済み)。深夜時間帯と重なれば75%、休日の深夜なら60%など、時間帯の組み合わせで割増率はさらに高くなります。残業が月60時間を超えやすい職場は、この部分の未払いが積み上がっているケースがあります。

たとえば月給30万円(所定労働時間170時間)の人が月40時間の未払い残業をしていた場合、1時間あたり約1,765円 × 1.25 × 40時間で約88,000円。年間にすると100万円を超える計算になります。

ただ、実際にはいろんな手当の扱いや変形労働時間制の適用など、計算が複雑になるケースも多いです。自分でざっくり計算した後、専門家に正確な金額を出してもらうのが現実的だと思います。

時効と証拠の集め方

未払い残業代の請求には時効があります。2020年4月以降に発生した分は3年(それ以前は2年)。つまり、3年以上前の分はもう請求できない可能性が高いです。気づいたら早めに動くのがポイントです。

証拠として有効なのは、タイムカードのコピー、PCのログイン・ログオフ記録、業務メールの送信時刻、ICカードの入退室記録あたりです。自分のスマホで退勤時刻を毎日メモしておくだけでも証拠になりえます。

逆にやりがちな失敗は、「記憶だけ」で請求しようとすること。「だいたい毎日2時間くらい残業してた」だけでは弱いです。日付と時間が特定できる記録が必要になります。

相談先の選び方

無料で相談できる入口として定番なのが労働基準監督署。違法な状態があれば会社に是正勧告を出してくれます。ただ、個別の金額を取り戻すところまでは踏み込まないので、「違法な残業を止めたい」には向いていて、「○万円を取り戻したい」なら別ルートになります。

お金の回収まで考えるなら、やっぱり弁護士への相談が確実です。初回無料で話を聞いてくれる事務所も多いし、成功報酬型(回収できた金額のうち決まった割合を払う)の事務所を選べば、手元の資金が少なくても動き出せる、というパターンが一般的なようでした。具体的な費用感や進め方は、事務所によって差があるので、直接聞くのが正確だと思います。

もう一つが労働組合(ユニオン)。会社に労組がなくても、個人で加入できるユニオンがあります。一人で会社と話すのはしんどいので、間に入ってもらうだけで動き方が変わります。

どのルートを選ぶにしても、先に証拠を集めておくのが第一歩です。手ぶらで相談に行くと状況説明で時間が終わってしまうので、上で挙げた記録を持っていくと話が早いです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
目次