頭金なしで家は買える?リスクと現実を整理した

頭金ゼロで家を買うこと自体は可能です。ただし、見落としがちなリスクがあります。住宅ローンの試算ツールに「頭金ゼロ」のパターンを追加したとき、数字を出してみて「なるほど、買えるけど注意点も多いな」と感じました。メリットとリスクを整理してみます。

目次

頭金ゼロのメリット

まず、頭金ゼロで家を買うこと自体は制度的に可能です。フルローン(物件価格の100%を借りる)に対応している金融機関は多いです。

メリットは3つ。

1. 今すぐ買える
頭金を貯めるのに何年もかけなくて済みます。家賃を払い続ける期間が短くなるから、トータルの住居費が抑えられるケースもあります。特に家賃が高い地域では、「貯金中の家賃」がもったいないという計算になることがあります。

2. 手元の現金を残せる
貯金を頭金に充てると、急な出費に対応できなくなるリスクがあります。手元に生活費の半年〜1年分を残しておくほうが安心です。

3. 住宅ローン控除を最大限使える
控除はローン残高の0.7%です。頭金を入れずに借入額を大きくしたほうが、控除額も大きくなります。ただし控除額には上限があるので、借入額が大きければ大きいほど得、とは限りません。

隠れたリスク

メリットだけ見ると「頭金ゼロ一択じゃん」と思うかもしれませんが、リスクもしっかりあります。

1. 総返済額が増える
借入額が大きくなれば、利息も増えます。3,500万円を変動金利1.0%で35年借りた場合の総利息は約650万円。頭金500万円を入れて3,000万円にすると約557万円。差額は約93万円です。金利が途中で上昇すれば、この差はさらに広がります。

2. 金利が高くなることがある
フルローンは金融機関にとってリスクが高いため、審査が厳しくなるか、適用金利が通常より高くなることも。フラット35では融資率9割超の借入で金利が約0.26%上乗せされる仕様があり、「頭金あり」の人と同じ金利が適用されるとは限りません。ネット銀行でも融資率で金利が変わる商品があるため、借入条件は事前確認が欠かせません。

3. 売却時にローンが残るリスク
住宅の価値は新築直後から下がり始めます。フルローンだと、数年後に売却しようとしたとき「売却価格 < ローン残高」になる可能性がある。これを「オーバーローン」と言って、売るに売れない状態です。

4. 審査が通りにくい
頭金ゼロ=貯蓄がないと判断されるケースも。他の審査項目(年収、勤続年数)がよくても、自己資金ゼロは不利に働くことがあります。

諸費用は別に必要

見落としがちですが、物件価格とは別に「諸費用」がかかります。これが思った以上に大きい。

  • 仲介手数料:物件価格の3%+6万円(中古の場合)
  • 登記費用:20〜40万円程度
  • ローン事務手数料:借入額の2.2%(定率型の場合)
  • 火災保険料:10〜30万円(一括払いの場合)
  • 印紙税:2〜6万円

合計すると、物件価格の7〜10%程度。3,500万円の物件なら250〜350万円が目安です。これを現金で用意できるかどうかは確認しておく必要があります。

「諸費用ローン」で諸費用も借りられる金融機関はありますが、借入額がさらに増えてリスクが高まります。できれば諸費用分くらいは現金で用意したいところです。

頭金なしで買うなら気をつけること

頭金ゼロで住宅購入する場合、以下のポイントを押さえておきたいところです。

  • 返済比率を抑える:年収に対する返済額の割合は25%以内が安全ライン。30%を超えると家計がかなり厳しくなる
  • 生活防衛資金は確保:頭金に回さない代わりに、最低でも生活費6ヶ月分の貯蓄は維持する
  • 繰り上げ返済の計画を立てる:入居後にボーナスや臨時収入で繰り上げ返済すれば、利息を減らせる。最初は頭金ゼロでも、実質的に後から頭金を入れるイメージ
  • 物件の資産価値を重視:売却時にオーバーローンにならないよう、値下がりしにくい物件を選ぶ。駅近・都市部など立地が最重要
  • 複数の金融機関で審査を受ける:フルローンの審査基準は金融機関ごとに異なる。1社で通らなくても別の銀行で通ることはある

頭金なしでの購入は「悪い選択」ではないですが、「リスクを理解した上での選択」でないと危ないです。試算で数字を出してみて、無理のない返済計画になっているか確認してから判断してほしいと思います。

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