
住宅ローン、変動と固定どっちがいい?この質問、正解は人によって違います。住宅ローンのシミュレーションツールを作るときに、変動金利と固定金利で総返済額にどれくらい差が出るかを僕が試算してみたら、「変動が安い」とは一概に言えないケースもあって、なかなか興味深かったです。金利タイプの違いと選び方の考え方を整理してみます。
変動金利の仕組み
変動金利は、半年ごとに金利が見直されます。2026年4月時点では、主要ネット銀行の変動金利は年1.0〜1.2%程度。2024年3月のマイナス金利解除と2025年12月の日銀追加利上げを経て、変動金利は15年ぶりに1%台に乗った状況です。
メリットは固定金利より月々の返済額を抑えられること。3,000万円を35年返済で借りた場合、変動1.0%なら月々約85,000円。固定(フラット35)2.5%なら約107,000円。月2.2万円、年間で約26万円の差になります。
デメリットは将来の金利上昇リスクです。日銀の金融政策が変われば金利はさらに上がる可能性があります。2024年以降は実際に利上げが進んでいるので、借入時にこれ以上上がった場合のシミュレーションは必須です。
変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」があります。金利が上がっても返済額の見直しは5年ごとで、前回の125%を超えないという仕組みです(元利均等返済のみに適用)。ただし、返済額が変わらないだけで、利息と元金の内訳は変わります。金利が大幅に上がると元金が減らない「未払い利息」が発生するリスクがあります。なお、PayPay銀行・ソニー銀行・SBI新生銀行などこの2つのルールを採用していないネット銀行もあるので、各行の仕様は事前確認が欠かせません。
固定金利の仕組み
固定金利は、借入時の金利が返済期間中ずっと変わりません。全期間固定型の代表がフラット35で、2026年4月時点の金利は約2.49%(新機構団信込み、融資率9割以下、21〜35年)です。2024年以降の金利上昇を受けて、フラット35も2%台半ばまで上がっています。
メリットは返済額が確定すること。月々の支払いが変わらないので、将来の家計を計画しやすいです。金利上昇の心配が一切ないという安心感は大きいです。
デメリットは、変動金利と比べて月々の返済額が高くなることです。金利が上がらなかった場合、トータルで数百万円多く払うことになります。
「固定期間選択型」という中間タイプもあります。最初の10年は固定、その後は変動に切り替わる、というものです。固定期間中は安心ですが、切り替え後の金利は読めません。
金利タイプ別のシミュレーション
3,000万円・35年返済で比較してみました。
| 金利タイプ | 金利 | 月々返済額 | 総返済額 | 利息合計 |
|---|---|---|---|---|
| 変動(現行水準維持) | 1.0% | 約85,000円 | 約3,557万円 | 約557万円 |
| 変動(途中で上昇) | 1.0%→2.5% | 約85,000→97,000円 | 約3,850万円前後 | 約850万円前後 |
| 固定(フラット35) | 2.49% | 約107,000円 | 約4,494万円 | 約1,494万円 |
変動が現行水準のまま続けば固定との差は大きいです。でも途中で2.5%まで上がると、固定との差は縮まります。金利がもっと上がれば逆転もあり得ます。
ツールにこの計算を入れたとき、「金利の予測は誰にもできない」という当たり前のことを僕は改めて思いました。未来は分からないから、どちらを選んでも「正解」は後にならないと分かりません。
選び方の考え方
「どっちがいいか」に絶対の正解はありませんが、判断の軸はあります。
変動が向いている人
- 金利が上がっても返済額の増加に耐えられる家計的余裕がある
- 繰り上げ返済で早期完済を目指す予定
- 借入額が比較的少ない
固定が向いている人
- 返済額が変わると家計が苦しくなる
- 35年かけてじっくり返す予定
- 金利上昇のニュースに心がざわつく性格
「ミックスローン」という選択肢もあります。借入額の半分を変動、半分を固定にすることでリスクを分散する方法です。どちらか一方に決められない場合は検討する価値があります。
個人的にいろいろ試算してみて思ったのは、金利タイプよりも「借入額を適正に抑えること」のほうがポイントだということです。金利が0.5%上がっても家計が破綻しない借入額にしておけば、どちらを選んでも大きな問題にはなりません。