「マーチンゲール法ってよく聞くけど、実際どれくらい危ないの?」
FXの資金管理を調べていると、いろいろなロット管理手法が出てきます。固定ロット、固定%、マーチンゲール、ケリー基準、モンテカルロ法……。それぞれの解説記事はあるんだけど、同じ条件でまとめて比較できるものってなかなかなくて。
同じ勝率・同じリスクリワード比で、手法だけ変えたらどうなるのか。頭で考えるよりグラフで見たほうがわかりやすいはずだと思って、シミュレーターを作ってみました。11種類の手法から好きなものにチェックを入れて自由に比較できます。
資金管理手法の比較シミュレーション
固定ロット・マーチンゲール等の1回あたりの基本リスク額
固定%手法で1回のトレードにリスクする資金の割合
1:1なら「1」、1:2なら「2」を入力
※ 押すたびにランダムな結果が変わります。何度か試してみてください。
統計情報(1,000セットの平均)
| 手法 | 平均最終資金 | 増加率 | 平均最大DD | 破産率 |
|---|
使い方
① 初期資金と基本ベット額を設定する
初期資金(シミュレーション開始時の口座残高)と、基本ベット額(1回のトレードでリスクにさらす基本金額)を入力します。
基本ベット額は、固定ロット・マーチンゲール・ダランベールなどで「1単位」として使われます。
② 固定%のリスク率を設定する
固定%手法で使われるリスク率です。口座残高の何%を1回のトレードにリスクするかを設定します。2%が一般的な目安です。
③ 勝率とリスクリワード比を設定する
勝率は1〜99%の範囲で指定できます。リスクリワード比は「1回の勝ちで得る額÷1回の負けで失う額」です。1:1なら「1」、1:2なら「2」を入力してください。
④ 試行回数を決める
トレード回数(10〜1,000回)を入力します。プリセットボタンで100・200・500・1,000回を素早く設定できます。
⑤ 比較したい手法にチェックを入れる
11種類の手法から、比較したいものにチェックを入れてください。「全選択」「全解除」ボタンで一括操作もできます。2〜4手法に絞ると見やすいです。
⑥ シミュレーション実行
ボタンを押すと、エクイティカーブ(資金推移グラフ)と統計テーブルが表示されます。
グラフは1回のシミュレーション結果(ランダムな1パスの資金推移)です。統計テーブルは同じ条件で1,000回シミュレーションを繰り返した平均値です。実行するたびにグラフの形は変わりますが、統計値はほぼ安定します。
11種の手法解説
固定ロット
もっともシンプルな方法です。毎回同じ金額をリスクにさらします。
資金が増えても減っても賭け金は一定。分かりやすい反面、資金が増えたときの複利効果はありません。
固定%
口座残高の一定割合(例えば2%)を毎回リスクにさらす方法です。
資金が増えればベット額も増え、減れば自動的にベット額も小さくなる。複利の効果が得られるうえ、理論上は資金がゼロになることがありません。多くのトレーダーに支持されている堅実な手法です。
マーチンゲール法
負けたらベット額を倍にし、勝ったら元に戻す方法です。
1回勝てばそれまでの負けをすべて取り返せる仕組みですが、連敗が続くとベット額が指数的に膨らみます。シミュレーションを回すとわかりますが、見た目以上に破産率が高いです。
逆マーチンゲール法
マーチンゲールの真逆。勝ったらベット額を倍にし、負けたら元に戻す方法です。パーレー法とも呼ばれます。
連勝時に爆発的に資金が増える反面、1回の負けでそれまでの利益を一気に吐き出します。期待値がゼロだと最悪の手法ですが、エッジがあると化ける面白い性質を持っています。ぜひ勝率を変えて比較してみてください。
ダランベール法
負けたらベット額を1単位増やし、勝ったら1単位減らす方法です。
マーチンゲールほど急激にベットが膨らまないため、破産リスクは低め。ただし損失の回復にも時間がかかります。
フィボナッチ法
負けたらフィボナッチ数列(1, 1, 2, 3, 5, 8, 13…)に沿ってベット額を増やし、勝ったら2つ前に戻る方法です。
FXトレーダーにはフィボナッチ・リトレースメントでお馴染みの数列ですが、資金管理にも応用できます。マーチンゲールよりも緩やかにベットが増えるのが特徴です。
モンテカルロ法
数列 [1, 2, 3] からスタートし、「先頭+末尾」の合計を1単位にかけた額をベットする方法です。
- 勝ったら先頭と末尾の数字を消す
- 負けたらベットした単位数を末尾に追加
- 数列がなくなったらサイクル完了 → [1, 2, 3] に戻る
勝率が50%未満でも利益が出る場合があるとされますが、連敗時にベットが大きく膨らむリスクがあります。
モンテカルロ法(分解法)
モンテカルロ法の改良版で、数列 [0, 1] という小さな数値からスタートします。
通常のモンテカルロ法との違いは、数列が1つだけ残ったときにリセットせず、その数字を2つに分解する点です(例: 5 → [2, 3])。
初期ベットが小さく、未回収の損失を捨てずに引き継ぐため、通常版より破産率が大幅に低くなります。チェックボックスで標準版と分解法だけを選んで比較すると、違いがよくわかります。
※ モンテカルロ法(分解法)は外部サイト ict119.com にて考案・公開されている手法です。詳しい解説は元記事をご覧ください。
ケリー基準
勝率とリスクリワード比から数学的に最適なベットサイズを算出する方法です。1956年にベル研究所のジョン・ケリーが開発し、プロのトレーダーやファンドマネージャーが実際に使っている理論です。
計算式: ケリー率 = (勝率 × RR − 負率) ÷ RR
期待値がゼロ以下の場合は「賭けるな」と判定し、資金が一切動きません(グラフが水平線になります)。期待値がプラスだと非常にアグレッシブなベットサイズを提示するため、実運用ではハーフ・ケリー(ケリー率の半分)やクォーター・ケリーが推奨されています。
ハーフケリー
ケリー基準のベットサイズを半分にする実戦向けの調整版です。
フルケリーは理論上の最適値ですが、ドローダウンが大きすぎて精神的に耐えられません。ハーフケリーにするとリターンは約75%を維持したまま、ドローダウンは大幅に改善されます。ケリー基準とハーフケリーを両方チェックして比較すると、この差がはっきりわかります。
プロのトレーダーやファンドマネージャーの間では、フルケリーをそのまま使う人は少なく、ハーフ〜クォーターケリーが一般的です。
オスカーズグラインド
勝ったらベット額を1単位増やし、負けたらそのまま。1サイクルで1単位の利益が出たらリセットする堅実な方法です。
1965年のアラン・ウィルソンの著書で紹介された古典的な手法。地味ですが、エッジがある状況では破産率が低く安定した成績を出します。
シミュレーション結果の見方
エクイティカーブ(資金推移グラフ)
横軸がトレード回数、縦軸が口座残高です。点線は初期資金のライン。選択した手法が色分けで同時に描画されるので、手法ごとの挙動の違いが一目でわかります。
このグラフは1回のシミュレーション結果です。ランダムな勝ち負けの並び1パターンに対する資金の動きなので、実行するたびに形が変わります。
統計テーブル
同じ条件で1,000回のシミュレーションを自動で回し、その平均値を表示しています。
- 平均最終資金: 1,000回の最終残高の平均
- 平均最大DD(ドローダウン): 資金のピークからの最大下落率の平均。数値が大きいほど途中の落ち込みが激しい
- 破産率: 1,000回中、残高がゼロになった割合
グラフが「ありえる未来の一例」なら、統計テーブルは「平均するとこうなる」という全体像です。
どの手法を選ぶべきか
シミュレーターで遊んでみると実感しますが、勝率50%・リスクリワード1:1(期待値ゼロ)の条件では、どの手法を使っても長期的に資金は増えません。資金管理手法は魔法ではないということです。
逆に言うと、期待値がプラスのトレード手法を持っていれば、資金管理で効率をさらに高められます。
僕の個人的なおすすめは固定%です。理由はシンプルで、複利の効果が自動的に働くこと、理論上破産しないこと、設定が簡単なこと。まずは2%で始めて、自分のトレードスタイルに合わせて調整するのがいいと思います。
ケリー基準に興味がある方は、まず固定%で慣れてから「自分の勝率とRR比でケリー率を計算してみる」のがおすすめです。ただし、フルKellyはドローダウンが非常に大きいので、実運用ではハーフ〜クォーターKellyが現実的です。
資金管理の基本的な考え方はリスク管理と資金管理の基本で詳しく解説しています。ロットサイズの計算はロットサイズ計算機もあわせてどうぞ。